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2007年5月17日 (木曜日)

感覚の新鮮さ

知人アーティストのウェブサイトから、損保ジャパン東郷青児美術館のサイトにたまたま偶然訪れた。したら、トップページに、2006年6月7日のニュースリリースとして「第25回安田火災東郷青児美術館大賞授賞の取消しについて」のPDFへのリンクが貼られていたので、もう古い話題なのかも知れないけど、それについて。

▼損保ジャパン東郷青児美術館ウェブサイト
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/

贋作疑惑でいろいろ取り消しになった画家・和田義彦氏が、2002年3月20日に受賞した賞の取り消しの「お知らせ」である。そっかー、あの騒ぎからもうずいぶん経つのか〜っと、そのPDFを読むと、「取消理由」は(以下)との事(財団法人 損保ジャパン美術財団:News Releaseより引用)。

 本賞は、1977年に創設され、画業に優れ、優秀な絵画を発表した作家1名に授与してまいりました。
 和田義彦氏の授賞作品「想(そう)」は、アルベルト・スーギ氏の作品「交叉点のバー」と極めて類似しており、本賞審査基準に照らし合わせて、「感覚の新鮮さ」「技法の確かさ」「独自の世界の形成」の観点から逸脱していると判断いたしました。
 

うん?画家のモラルを問題視するのはわかるけど、絵画の発する「感覚の新鮮さ」とか、「技法の確かさ」って、パクったから表現出来たり、技法が確かになったりするもの??盗作の対象になったもの、類似していると判断した要素っていうのはつまり多分きっと、「モチーフの選定」「構図」「色彩」あとはせいぜい「筆致の扱い方」っくらいのものなんだろう。そういう要素をパクった和田氏が「独自の世界の形成」に対して不誠実きわまりなかったというのは、わからいではない。しかし絵画において「感覚の新鮮さ」「技法の確かさ」の有無というものは、当の絵画そのものに鑑賞者が対峙して初めて判断し得るものであり、そもそも盗作云々と関係のあるものなのだろうか。名画の模写をしたってそうそうオリジナルに匹敵するようなスゴい作品が出来上がるわけではない。それともそうした諸要素をパクっただけで「感覚の新鮮さ」 が立ち現れ、「技法の確かさ」を獲得出来るような完成された「方法」或いは「様式」をアルベルト・スーギという画家が構築していた、構築しているという事 なのだろうか。

アルベルト・スーギという画家の作品を私は実際に観た事がない、せいぜいテレビの報道や、インターネットで眺めただけであるし、それは和田義彦という国画会なる団体に所属していた画家の作品にしても同じ事である。たぶんこの報道で画家のモラルに憤ったり、日本の美術に対する評価システムに対して疑問を持ったりした多くの人にとっても同じ事だろう。それは問題になった「文化庁芸術選奨」の選考においても同様であった事は、去年(2006年)8月号の「美術手帖」にも書いてある。(インディペンデント・キュレイターである東屋隆司氏は執筆“「盗作事件が露呈したもの/「美術」は鎖国されたままなのか”で、2006年6月6日の読売新聞:記事“前田恭二、高野清見「和田氏『盗作』芸術選奨取り消し 借用の25年 選考材料、展覧会の図録だけ”から引用し判断材料は展覧会カタログしかなかった事を取り上げている。)

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