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2007年7月27日 (金曜日)

真空の

六時のハンバーガーの夕食後、満腹で眠くなりながらも、五時半からのアニアス・ワイルダーさんのサンフランシスコ、エクスプロラトリウム・seeing galleryの展覧会オープニング・パーティに出かけた。アニアスさんは先日の私のトークショー、それからオープン・ハウスに観覧に来てくれた、様々な国のアーティスト・イン・レジデンスを渡り歩き、活動するアーティストである(2007/7/20エントリー参照)。夕方五時半からのパーティに夜七時前に到着したという事が、けっして原因とは思えないが、広々としたエクスプロラトリウム会場の真ん中で、テーブルが散在し、ワインやらビールやらが振る舞われ人々がバラバラとぼそぼそと歓談する様は、オープニングのパーティというには何だかとても寂しそうで、勤務後の簡単な慰労会といった趣き。作品の展示ギャラリーも、巨大倉庫のような建物の片隅に小さく、6×7メートルくらいだろうか、壁で仕切られたスペースで、天井の異様な高さに違和感を覚える。
Aw 接着剤や釘、ネジなどを一切使わずに、太さ同一、様々な長さの木材を組上げ、積み上げ、ギリギリのバランスで重力と折り合いを付けた、とても緊張感のある構造物がアニアス・ワイルダーさんの作品であり、今回の展覧会では球形(右写真参照)の姿をしてそこに在った。このエクスプロラトリウムという場所は、ミュージアムではあるが、言ってみれば子供科学博物館といった趣向のミュージアムで、雲の生成や、砂漠の砂があの滑らかな景色を生み出す過程を簡単な装置によって、楽しく体験する事が出来る。その一連の流れでアニアスさんの緊張の作業の末、組上げられた構築物は、あまりにも必然的であり過ぎた。確かにギリギリの重量バランスでここまでの事が可能である様、実証を眺める経験は、どんな鑑賞者にとっても希有な体験ではある。しかしこの、アニアス・ワイルダーというアーティストの作品の醍醐味は、一人の人間の、見えないくらいに細く細く、これでもかというほどに張りつめた緊張の糸を、切れるか切れないかの狭間でなんとか紡ぎ続け、巨大な構造体として結実させる事にあるのではないだろうか。この事と、前述の理論の実証のごとき現れとは、鑑賞の体験として、相反する、相容れない事柄である。制作過程を収録した、小さな画面に映し出されるビデオ映像から、緊張の、真空の、片鱗をしかと見る事が出来ただけに、、まったく大きなお世話だが、、もったいないっ。

▼ Exploratorium | The museum of science, art and human perception
http://www.exploratorium.edu/seeing/about/seeing_gallery.html

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