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2007年9月の17件の記事

2007年9月29日 (土曜日)

景気付けに

F_c_2本日あつあつフィッシュ&チップス(3.80ポンド)。

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2007年9月28日 (金曜日)

ここではないどこか

25日火曜日、ピールアイランド(Piel Island)へ行った。軽いハイキング。片道一時間というところだろうか。書く気は満々だったのに、ばったばたしているうちにいつの間にかに日が重ねられもう金曜日。この世のものとは思えない風景がここに。やや、ほんと、このまま死ぬのかと思った。普段は海に囲われ、14世紀の城(Piel Castle)が今も遺跡として残る小さな島、ピールアイランドへの道が開き、一時、広大な無限に続くかに見える砂漠が出現する。Piel01
バローには何もないって?確かにそうなのかも知れない。しかし何もないが確かにある。そこはそんな事を思わせる場所であった。終始凍てつく風にさらされた左の耳は知覚機能をあきらめ、目的地のピーアイランドに接近するほどに、そしてずぶずぶと足を沈めながら歩を進めるうちに、 運動不足の私の体は次第に重量を増していったが(或いはそうであった為に)、このまま永遠に歩いていたい、と、そう思った。

Piel05_3 もともとはこんな(上図:城入口に立てられた案内看板より)城だったとの事。この日、行ったのは私と、ここ私の今回の滞在地であるアート・ジーンの二人のディレクター、マッディとスチュアート(二人ともアーティストである)そしてマッディの制作スタッフのリムンスキィ、そして私と時を同じくここにキュレーター・イン・レジデンスとして滞在しているKさん(キュレーター)の5人である。夏であればこの島ではバーも開かれているらしい。※ 右下の写真、左からスティーブ、Kさん、マッディ。クリックで画像拡大。 Piel02_2

▼Piel Island: From Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Piel_Island

▼WWW.VISITCUMBRIA.COM: 'Barrow-in-Furness - Piel Castle'
http://www.visitcumbria.com/sl/pielcas.htm

▼CastleUK.Net: Piel Castle SD 233-636 Cumbria England
http://www.castleuk.net/castle_lists_north/96/pielcastle.htm

▼Piel Island: History, Photo..
http://website.lineone.net/~carolscarr/index.htm

▼Piel Island Visit - 29th June 2000
http://www.britarch.ac.uk/lahs/piel_visit.htm

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2007年9月24日 (月曜日)

最近、というかこっちに来てからというもの、いや飛行機に乗った時点から、ビールやらワインやらを、おそらく毎日飲んでいる。ほとんどは寝る前、ベッドにもたれて、たまにスタジオで。まあ飲んでいると言っても今飲んでいるピルスナー(ラガービール)の小瓶一本を越える事は稀で、一口にはなかなか言い切れないが多分それほど複雑でもない何かからの緊張をほぐす、その程度のものだ。Saほぐす程度のものだが、ほぐす必要が生じているから飲んでいるわけで、美味いし、チーズも日本のものに比べればグッと安い、今の所いい関係が続いている。ただ酒は肩こりには良く働く事もあれば、悪く働く事もあるので要注意だ。飲む事によって、肩から落ち込むように、盲腸の手術の時に体験したような(それほどひどくはないが)「体の"中"を誰かに触れられている気持ち悪さ」を体験する事がたまにある。そうなるか否か、飲酒前の見極めは困難だ。ほとんど不可能とさえ思える。現在夜一時、雨が降っている。雨傘もレインジャケットもまだ購入していないし、濡れて帰ってイの一番にその処理をしなきゃならないってのは疲れた体からは拒否の反応しか出ていないので、しばらく帰れそうにない。右上写真は制作中。

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2007年9月21日 (金曜日)

冬場にトイレが暖かいっていうのは案外大事だ

今日は朝からしとしと、じとじとと、雨。傘か、或いはレインジャケットの購入を迫られる。ここイギリス北西部の冬は日本の梅雨のように雨の季節であるらしい。数日前からこのアート・ジーンの男子トイレに備え付けられている暖房が作動していて暖かい。便座を温めるような機能はない。それまでは、無意識的にトイレに行くのを我慢してしまうほどに冷え冷えとしていた。

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95ペンスに値下がりしたチキン

Beer23 夜八時過ぎ、24時間営業のスーパーマーケット「テスコ(TESCO)」から帰って来るやいなや、大粒の雨が強風に揺られ煽られながら降り出した。暴風雨だ。何にどう当たればそんな音がするのかわからぬ大きな低音が、気まぐれな風向きに付き合って、ころころと音階を変え、音量を変え、部屋の温度を幾分か、しかし一気に低くしたように思われた。今日はけっこう暖かかったのに。買って来た、夕暮れに95ペンスに値下がりした一塊のローストチキンを温め、ポテトチップス(WALKERS: ソルト&ビネガー味)の袋を開け、パサついた食パンを口に詰め込んでいると、いつの間にか静けさが戻っていた。夜の10時。もう一仕事。と、書いた所でディレクターのスチュアートがいずこからか帰還し、唐突に小さなかわいらしい瓶のビールを一本くれた。STELLA ARTOIS。ほんの僅かばかり白い砂糖のような甘さを持っていてウマい。

TESCOhttp://www.tesco.com/
STELLA ARTOIShttp://www.stellaartois.com/index.html

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2007年9月18日 (火曜日)

5 degrees Celsius

昨日今日と、どうやら本格的に冬に突入!?ディレクターのマッディに言わせると今年は雨も少なく比較的暖かいっての事。まあ根本的に僕が普通より寒がりっていう事もあるのだろうとは思うが、いや、寒っ。ヤフー!(UK&IRELAND)のお天気情報によると・・
Tenkihttp://uk.weather.yahoo.com/UKXX/UKXX1577/index_c.html
湿気もあまり感じられない故か、景色にもごまかしがないように見える。

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灯籠祭り(英国式)

Lm4 ここアート・ジーンのディレクターの1人、マッディ(Maddi Nicholson)が 土曜日夕方〜夜にランタン祭に連れて行ってくれた。「行くけどどう?(ドアをノックしてスタジオに入って来るマッディ)」「いつ?(パソコンから顔を上げて僕)」「10分後(余裕の顔でマッディ)」10分後ってねぇ(笑)Lantern Processionだから、ランタン行進・・Yahoo!辞書:lantern [名] 1 ランタン, ちょうちん, 角灯, カンテラ ・・ちょうちん行進。ちょうちん行列。ちょうちん大行進。うん。間違ってない。アート・ジーンのあるバローから車でおよそ30分のウルバーストンで1983年から続けられている恒例行事である。古く雰囲気のある商店街の八方に伸びる緩やかな坂道を老若男女が本当に埋め尽くし、やって来るちょうちん行列を待ち構えている。この田舎にこれほどまでの人間がいるのかと思わせるほどの人人人人人人人人人人人人人人。遠くの方から光のカタマリが少しずつ近づき、思い思いの形の光り輝くちょうちんが、それらを作った人々の手で頭上に掲げられ、鑑賞者の目の前を過ぎ行く様はまるで灯籠祭り、と、思って以下の記事を読んでると、どうやらまさに日本のそれからインスピレーションを受けて組織されているらしい。

▼North-West Evening Mail: LANTERN FESTIVAL FINALE FOR FOUNDER
http://www.nwemail.co.uk/news/viewarticle.aspx?id=283429


Lm1 それなり以上に光の行列は美しく、十二分に訪れた者の目を楽しませるものであったと思う。それは「晴っけ」というよりも、「素朴な」と形容した方が近いものである気がしたが、様々に出店があり、子供達はダルメシアンやら甘ったるいキャンディのようなアニメのキャラクターやらの風船を手に持ち(でかいイヌが立った硬直した形で宙に浮いてるのはイイ)カメラを振り回し、ブラスバンドはけたたましく、とにかく笑顔〜のすごい盛り上がりの不思議な空間がそこにはあった。

Fc最後には花火が上がった。小規模ではあったが、打ち上げられるそのすぐ近くで鑑賞した為か、危機感を感じさせる美しい花火でとても良かった。右の写真はここウルバーストンではじめてのフィッシュ&チップス最高!

▼Ulverston Online
http://www.ulverston.net/ulverston_display.asp?pID=LAN

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▼フィッシュ・アンド・チップス:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%81%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9

▼ロンドンからのメール:イギリスの国民食『フィッシュ&チップス』 
http://erecipe.woman.excite.co.jp/series/london/lo0206.html

▼ヨーロッパ三昧:手前味噌味レストラン・レポート
「ロンドンで最も美味い
フィッシュ・アンド・チップス」
http://www.europe-z.com/misolin/gb29.html

▼[おかずレシピ]All About:イギリスの定番料理:フィッシュ・アンド・チップス(作り方)
http://allabout.co.jp/gourmet/okazu/closeup/CU20060324A/ 

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2007年9月15日 (土曜日)

身に覚えがない

Beer_2 風邪引いたーーーっ!!昨日は一日ミズッパナとくしゃみが止まらず。熱は多分ないんだろうけど怖いから測らない。そもそも体温計なんて持ってない。制作はどんなコンディションでも体が動く限りは出来るっていうかやるので、昨日も朝から黙黙と、いや、ズーズー鼻を鳴らし、くしゃみを頻発し、つつ、スタジオに詰めていたが、さすがに夕方には頭がぼーっと意識の焦点が定まらず、体が動かなくなったので、いつもよりもだいぶ早めに帰宅した。帰って風邪っぴきらしくお粥っつかリゾットみたいなんを作り、ビールを一本、で、なんかおさまった。麻痺?でも眠気も一緒におさまって、早めに寝ようと帰ったのに寝れなくった。体のダルさを思えば治ったとは考えにくい。結局夜中一時くらいまで寝れなかったが、まあそれでもいつもよりはグッと早いし、ともあれだいぶ良くなった。本を読む時間も少し作れたし、くしゃみもミズッパナもおさまった。体はまだ重いな。ってかなんで風邪なんか引いたんだ?確かにバロー、けっこう寒くはなって来ているけれど。まったく。

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2007年9月13日 (木曜日)

ほんの二、三秒だけ無鉄砲なことやらかしゃ・・

しかしですよ、むごたらしいっていやむごたらしいけどーーーーいや、ホイーラー軍曹のことじゃなくて、戦争ぜんたいがですよーーーーあれはアメリカ人の偉さをひきだしましたよね。戦争には、なんか人間の偉さをひきだすところがあるんですな。いいたかないけど、ほんと。そうね、もちろん、戦争だと、あっという間に偉くなれるからねえ。なにしろあんた、ほんの二、三秒だけ無鉄砲なことやらかしゃ、それだけで偉くなれるんですから。このあたしだって、世界一の床屋になれるかもしれん。げんにそうかもしれん。だけど、そういつを証明するには、一生のあいだうまーい散髪をしてみせなきゃだめだし、かりにそうしてみせたって、だれも認めてくれない。平和な時代ってのはそうしたもんですよ、ねえ。
(カート・ヴォネガット・ジュニア/朝倉久志・訳「プレイヤー・ピアノ」より引用)

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2007年9月12日 (水曜日)

さてここで何が出来るのか

Sate 「さてここで何が出来るのか」前回のエントリー(2007年9月12日「制作は楽しい」)の最後を僕はこう締めくくった。このブログにおいて、このエントリーこのセンテンスに限って言える話ではないが、ともあれ、これは非常に曖昧で、様々な意味に取る事の出来る言い回しである。もちろんそれは敢えてそうしているわけで、この「さてここで何が出来るのか」に関していえば、その複数の意味を言い表したいという欲求があったと共に、言い表すそのどの意味でも単独で言い切るには与える印象が限定的になり過ぎてしまい、その時の気分の表現には不適切であると判断しての事である。「さてここで何が出来るのか」は「[ここ]という場に対してこれからどんなアプローチ(投企)を行使しようか」とも取れるし「[ここ]にとって部外者である自分に果たして[ここ]に対し貢献出来る何事かがあるのだろうか?(ないかも知れない)」とも取れるし「[自分の表現]が[ここ]という見知らぬ土地においていかなる効果/効能を発しうるのだろうか」とも取れるし他にもきっといろいろと取りようがある。これらの意味を同時にこのセンテンスで伝達する事に成功しているかと言うとけしてそうではないし、そういった状況というのもよくわからない。これらはそれぞれ全く異なるベクトルを持った意味である。このセンテンスはおそらく限定的な何らかの意味を喚起させつつその一歩手前で踏みとどまらせる。意味するそのどれでもあるがどれでもない、ただ「さてここで何が出来るのか」という垂れ流されたセンテンスがあるのみ。とどのつまりそういう意味だ。

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制作は楽しい

Seisakuu さてここイギリス、カンブリア、バロー・イン・ファーネスに九月の一日にやって来て11日間が経過した。「滞在制作」とこのブログで知らせつつも作品制作についてとんと書いて来なかったが、まったく何にもやらずにただただインターネットも繋がっていない広く真っ白な天井の高いスタジオでほうけていたかというとそうではない。相変わらず淡々と、淡々と、ゆっくりじわじわ動いている。ほんとにじわじわじわ。目に見える作業としてはシャープペンシルの仕事。はじめて数日。まだまだまだまだ、というか、レジデンス終盤までこれは続けてみたいと考えている。今回と次回の滞在制作(今回→ART GENE/UK・次回→Vermont Studio Center/USA)では、いつもレジデンス・プログラムに参加して制作して来た木炭による作品シリーズ(参考)で突っ走る、ではなく、別の切り口で過ごすつもりでいる。当たり前の事だが、ここは僕の育った環境とはまるで違うし、いままで滞在したどの場所もそれぞれ全て同じではない。まだここでの過ごし方と格闘してはいるが、その解答よりも、過ごしている事そのもの、ここへ来てここに居る事そのものこそが重要な事なのだ。きっと。さてここで何が出来るのか。

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2007年9月10日 (月曜日)

ピーターラビットと醜いアヒルの子

本日(日曜日)はオートバイレースで有名なマン島(参考)を臨む海岸(アイリッシュ海)〜〜コニストン(Coniston)へドライブに行く機会に恵まれた。ファウンダーのスチュアートさんの招きである。あいにくの雨まじりの曇り空ではあったが、これぞ湖水地方!と思わせる景色!湖!羊羊羊!!コニストン湖の側にあるHawkshead村がピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポター(1866-1943)が半生を過ごした村であるとの事。まさしくピーターラビットの里というわけだ。Kosui_2

ほとんど無知であったが、ジョン・ラスキン(1819-1900)の晩年を過ごした家にも行く事が出来た(外から眺めるだけではあったが)。ジョン・ラスキンは評論家であり、植物をモチーフとしたデザインで知られるウィリアム・モリス(1834-1896)等に影響を与えた人物である、らしい。上の写真はラスキンの家の前からのコニストン湖と羊たち。

▼ビアトリクス・ポター:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%82%BF%E3%83%BC

▼ジョン・ラスキン:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%B3

松岡正剛の千夜千冊『近代画家論』ジョン・ラスキン
http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya1045.html


そしてコニストン湖ではみにくいアヒルの子!!まさにアヒルにまじって・・初めて見た。Minikui ※写真それぞれ画像クリックで拡大。

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ファーネス・アビィ

Pix070908 土曜日はナショナル・ユース・シアターの野外演劇を鑑賞にファーネス・アビィへ。小学生から高校生くらいの若者有志劇団といったところか。準備の一部は私のスタジオのある同じビルで行なわれていた為、スタッフには既に見知った顔もあった。バローの外れ(北)に位置するファーネス・アビィは、この辺の観光の一つの目玉、名所とはっきり言って良いと思わせる、古く巨大な修道院跡であり、ウィキペディアによると1123年に建てられたとある。さらに画家ウィリアム・ターナー(1775-1851)がここアビィの版画(エッチング)を大量に制作しているらしいとの事。ちょっと見てみたいがどこで見れるのだろう?演劇は、その廃墟、いや、遺跡と言っていい佇まいを見せる、いわば天然の舞台装置のあちらこちらを移動しながら行なわれた。周囲の黒く大きな自然とそれに呑み込まれ、溶解し一体となりつつも反抗する姿勢を見せ続けるかのような修道院と、演劇を行ない鑑賞するなど、こうした場を日常の一部として抱える人々を目の当たりにし、ここにはゆっくりまた訪れねばという思いを抱く。

▼WWW.VISITCUMBRIA.COM(カンブリアの観光案内サイトによるファーネス・アビィの紹介)
http://www.visitcumbria.com/sl/furnabb.htm

▼Furness Abbey(ウィキペディアより)
http://en.wikipedia.org/wiki/Furness_Abbey

▼ナショナル・ユース・シアター:ウェブサイト
http://www.nyt.org.uk/

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2007年9月 5日 (水曜日)

今日出くわしたパンダのような牛

Pandaこのうち一匹はしっかり目の周りも黒くって・・・・。

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2007年9月 4日 (火曜日)

書院の美

先月(8月)に観たいくつかの展覧会について、ブログでほとんどまったく触れていなかったので、少しずつ。出来るだけ。

東京藝術大学美術館にて「金刀比羅宮書院の美」展。今年一月に香川(直島ほか)を訪れた時(参照)に観た(が、しかし、襖のある部屋をガラス越しに廊下から距離をもって観ざるを得なかった)円山応挙の襖絵「遊虎図」を近距離で確かめる事が出来(やはりガラス越しではあったが)、普段観る事の出来ない(公開されていない)奥の院の、伊藤若冲の、あの、植物図鑑のように様々な草花を金色の壁面に等間隔でグリッド上に配置した「花丸図」に、初めてお目にかかる事が出来た。

やはり応挙のこの虎は・・うん。ころころ漫画してて可愛いとかどうでもよろし。香川の、金刀比羅宮の長い階段を延々と登った先のしっとりと埃の落ちた表書院に、襖として今なお機能し、自然光の暗がりのなかでインスタレーションされた重々しい雰囲気を放っていたその毛穴を、ここへ来てまじまじと、見た、と、言うかなんと言うかかんと言うか、冬場に冷たい雨を浴びてビシャビシャになった息の熱く荒いでーっかいゴールデンレトリバーの、水と砂のたくさんつまった体が四方から押し寄せて来るような、分厚い洗車場のような絵だった。いやいや、まったく嫌な印象を持ったというのではなく、むしろ逆で、この体験を踏まえて、もう一度金刀比羅宮、表書院に出かけてみたくなった。

応挙の展示を通り抜けると現れる、金刀比羅宮書院の間取りを美術館内に再現させ、襖絵を配した一連の展示には、う、うん、うん、ビックリした。愕然としたと言った方が適当かも知れない。すごく無粋な感触を持ったのだ。もともとの設置状況を再現、体験出来るように施す展示に出会うのはもちろんこれが初めてではないし、その中でもおそらく上出来の部類であろうとは思う(僭越だが)。だからこの打撃は、一重に私の側にその知覚の要因がある事は疑いようがない。そういう風に感じるタイミングだったのだ。私はそこで、その時、そして今も、襖絵として限定された部屋の為に、そしておそらくは限定された人々の為に、制作され、設置された作品を、「運べる」からといって運ぶ事、運んでしまう事の横暴さを見つけられた思いがしたのだ(パリにまで巡回するらしい)。それは応挙も、若冲も含めてやはり、そう思う。円山応挙という名前や、伊藤若冲という名前や、岸派という名前ばかり、つまり人間業ばかりに焦点を無理矢理に合わせて、何か、大事な事柄に目を瞑っているような、それを覆い隠そうとする美術品への視線の痛々しくも強い腕力を見せつけられたように思えた。

これは次の巡回地である金刀比羅宮の、普段非公開の奥書院・特別公開(2007年10月1日(月)〜12月2日(日)[前期]、12月29日(土)〜2008年1月31日(木)[後期])は是非とも行かなきゃである。
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金刀比羅宮 書院の美 — 応挙・若冲・岸岱 —
会期:2007年7月7日(土)-9月9日(日)
午前10時〜午後5時(入館は閉館の30分前まで)/月曜休館
会場:東京藝術大学大学美術館

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朝日新聞社「金刀比羅宮 書院の美」展ホームページ
http://www.asahi.com/konpira/

東京藝術大学美術館「金刀比羅宮 書院の美」展ホームページ
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2007/kotohiragu/kotohiragu_ja.htm

金刀比羅宮ホームページ
http://www.konpira.or.jp/menu/master/menu.html

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2007年9月 3日 (月曜日)

海猫は笑う

昨日のエントリに引き続き、イングランドに到着した二日間の事について、もう少し覚え書き。到着初日の夜を明かしたマンチェスター空港はめっぽう寒かったが、たまにタバコを吸う為に外へ出ると(外にしか喫煙ブースはなく、空港内表示にはたしか「我々は喫煙に敵対している」みたいな事が書いてあった)深夜という事もあり、軽く凍えるほどの冷気を感じたので、建物内には暖房が入っているらしい事がわかった。深夜の空港は意外なほど始終どこかへ向かう為に訪れた人が行き来しており、睡眠という睡眠は、初めてのイングランド(緊張!?)という事も相まって取る事は出来なかったが、ともあれ本を読んだり、考え事をしている間に夜が明けた。明けた所でまた来るとも知れぬマンチェスターの空港風景をもう少し写真に収めておこうと、背負った大きなリュックサックからデジタルカメラ取り出し、電源をオンにすると液晶画面に見慣れない、まるで写真のネガを見ているような黒い葉っぱのシルエット。いや、本当に小さな葉っぱがレンズにでも付いたか?、中に入り込んだか?、と、思ったが、どうやらそうではないらしい事はすぐにわかった。葉っぱの中心からその形状に広がるように液晶画面が割れていたのだ。「えぇぇ・・・・」でもその後、列車の待ち合い場所の電源を使ってパソコンを開いて確認すると、どうやら逝かれたのは液晶画面のみで、メモリーカードはもちろん、自分が何を撮影しているかはわからないという事を除けば撮影も可能である事がわかった。いや、うん、問題なし。自分が何を撮影しているか、なんて、スナップであれば尚の事、いつもわかっていない。

Train_00

まあ、そんなこんなで無事に、遅れがちと噂に聞いたが発着共に定刻通りだった列車に乗って、ここ、バロー・イン・ファーネスにやって来た。二時間半ほどの列車の旅もまた、積み重ねた疲労のおかげで意識を失っては立ち上がりの連続ではあったが、窓からの景色はそれなり以上に感動的で、たくさんのもこもこした羊や牛を見たし、これが湖水地方と呼ばれる所以か〜という広がりも、現実と非現実を混ぜこぜにする仕事をしっかりこなしていて、遠くに来たな〜という事を、やっとこ旅の所要時間相応に感じる事が出来た。このままのんびりあと2〜3時間余分に揺られていたい、と、思った。ん、ヨーロッパ列車の旅、案外いいのかも知れない。座席それぞれにパソコンや携帯の充電器を接続出来る電源もあるし。どうでもいいが、バロー・イン・ファーネスの駅の表示は「BARROW」。そういえば、アート・ジーンのアドミニストレーターのミッシェルさんのメールでもそうやって書いてあった。どうやら略してよいようだ。常々バロー・イン・ファーネス、長いな、書くのがめんどくさいな、と、思っていたので今度からバローにしようと思た。

Gene_st00 さて今回、滞在制作を行なうアート・ジーンはバローの駅から徒歩で10分も行かない所にある、その昔造船工場だった古めかしいビル(まあだいたいどのビルもいいかげん古めかしい感じだが)で、インターネット以外、なかなか新型設備の整った感じの、広い広い広いギャラリーと、天井が突き抜けるように高く(5メートルくらい?)、外光をしっかり受け止める事の出来る巨大な窓のある複数のスタジオ、そして何とも今っぽい雰囲気を持つサインの溢れる施設である。インターネットは有線で二カ所の共同スペースでしか出来ないのが、個人的には、う、という感じだが、まあ、すぐそれも慣れるだろう。列車で昼過ぎに辿り着いたバロー初日は、アート・ジーンの中心、二人のファウンダー、スチュアートさんとマッディさんに、この施設の説明、どこに何があるか、から、各種鍵の閉め方開け方(ドアによって異なったいくつもの種類の方法がある)から、防犯アラームの仕組みなどなどの説明を受け、さらにバローの町を車に乗って駆け足で案内してもらった。この町は小さい。しかし産業革命以来の工場の町で造船を始めとして、様々に巨大な倉庫、建造物、クレーンが立ち並び(産業は近年ではだいぶ下火になって来ている事から、観光地としても機能させようと動いているようだが)、それを眺めているだけでも面白い。軍の潜水艦までもある。また、古い古い教会の跡地などなどなどなどなどなど、見所がギュっギュっと詰まっているようだ。その後三人で中華を食べ、夜の七時過ぎだったか宿泊する下宿(!?)へ、と、長かった二日間に渡るイングランドへの道のりによ、う、や、く、、段落が訪れた。ついでに書けば、その次の日である今日、日曜日はやっとこダラリとした日。生活に必要なものを少しずつ揃え、地図を片手に町を歩き、歩き、インターネットにかじりつき、な、一日。空にはバサバサと海猫が大きな笑い声で飛んでいる。なんかやたら不吉な声で面白い。聞くこっちの耳とか精神状況が原因でもないみたいだ。

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2007年9月 2日 (日曜日)

長い長い長い

Turo_2 ささて、31日発の成田〜ロンドンと来て、ロンドンからの国内線飛行機が1時間以上遅延し、ようやっとイングランド、マンチェスターに到着ーっし、た、の、が、同日夜中の11時過ぎ。明朝の電車で目的地バロー・イン・ファーネスに向かう為にその晩は空港にお泊まりって事、で、も、長い長い飛行機でさんざぐうたら寝た、と、て、いうか、意識を失ったり本を読んだり、また意識を失ったりって事を繰り返してしまったあげく、空港についてから一時間に渡って一晩過ごせる最良のポイントを探して三つのターミナルを重量級のバックパックを背負って隈無く、ほんと隈無く歩きに歩いた為に、体はめっぽうグッタグタ、なのに、なんとも眠れず、パソコンに電気を流してみたり、みたり、みたり、みたり。いやしかし、眠かった。言ってる事がおかしい?まあ、いいか、空港には24時間のコンビにもあったし・・って高けえっ!何もかも高っけえっ!!コーラ500mlで1.29ポンド、コンビニ・サンドイッチで2.4ポンド・・1ポンド220円として・・283円に528円か・・空港インターネット接続は1時間5ポンド、24時間10ポンド。24時間にした方がグッとお得だけど、2000円以上!?ありえません。ほんと早くイギリスでの生活の仕方を開拓しないとぉ・・って何のアイディアも浮かばないのはきっと疲れてるせいだ。きっと。うん。一時間でネット接続して更新しようとも思ったけど、それも後で、後で、脳みそが動かなぃぃで、今、九月の一日の夜10時前、そう、バロー・イン・ファーネス→今回の滞在制作地、アート・ジーンに昼過ぎに無事到着し、そこからいろいろいろいろかけずり回って回って回って、ようやっと一人の時間がやって来て、やっとの事、ブログ更新作業にいそしんでいると言うワケ。空港で夜を明かし、列車に揺られてここまでの事はまた明日の更新、で。たぶん。きっと。写真は夜中のマンチェスター空港第一ターミナルから第二ターミナルへの長い長い動く歩道。青い。

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