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2008年4月 5日 (土曜日)

世田谷美術館にて

「存在」という漠然とした、というか、巨大な、重量感のある、膨大なイメージを持つ言葉をテーマとして掲げたシンポジウム(Personal Structures主催)を聞きに、先日四月二日、桜の舞う東京は世田谷の世田谷美術館まで行って来た。数人のアーティストが一人ずつ約40分間「存在」というテーマについての考えを披露するというもの+対談。『シンポジウム』をY!辞書で引くと《聴衆の前で、特定の問題について何人かが意見を述べ、参会者と質疑応答を行う形式の討論会。語源はギリシア語のシンポシオンから。》。『symposium』は《1 ((形式))(聴衆の前で行う)討論[談話, 座談]会, シンポジウム. 2 ((形式))(特定の問題の)評論集;討論会の記録. 3 (古代ギリシャ・ローマにおける)酒宴, 宴会;『饗宴』(プラトン作). ・・》。うん、なんか数人で討論したり座談会したりってイメージあってるよね。や、確認として。ま、ともあれ、最初の一日しか行けなかったけど、二日間の日程(4/2~3)で、どういった基準の人選が行なわれたのかものすごく疑問だが、美術の教科書級の大御所から、無名所まで様々々。行った日はコンセプチュアル・アーティストの代表的人物の一人、ジョセフ・コスース(Joseph Kosuth: b.1945)と、現地制作を中心に、制作過程を重視した作風で世界を舞台にするアーティストでありながら、2005年の横浜トリエンナーレのディレクターも務めた川俣正(b.1953)の二人による対談って目玉もあるし〜って行ったのだけども残念ながら、パリ在住の川俣正氏がスケジュール上帰って来る事が出来ず中止・・。でも何故か司会者から外国人、喋りも外国人らしく英語、アーティストも数人外国人なのにも関わらず、何故か何故か「英語→日本語」の通訳も「日本語→英語」の通訳もナシナシ(´;ω;`)。だから多分対談も英語のみ通訳ナシで、実際予定通り実施されたとしてどれだけ聞き取れたか相当怪しいっので、ま、いいか。日本語で行なわれた→彫刻家の遠藤利克(b.1950)氏の思想を自作による図表で解説し、一人の彫刻家として、言葉と供犠(くぎ:神に、いけにえを供える宗教的・呪術的(じゅじゅつてき)儀式。また、そのいけにえ。きょうぎ。→Y!辞書より)と空洞(不在の在に生じる想像力)の概念を使って「存在」を規定し、自作を展開して来た話も面白かったし、そして岡部昌生(b.1942)というアーティストの発見があったのはよかった。

岡部昌生わたしたちの過去に、未来はあるのか―The Dark Face of the Light 岡部昌生わたしたちの過去に、未来はあるのか―The Dark Face of the Light

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昨年2007年の第52回ベネチア・ビエンナーレに、日本パビリオン(港千尋キュレーション)で参加したアーティストである。岡部氏は、様々な土地や物を、紙や布に鉛筆やクレヨンでフロッタージュ(上から擦り付けて形や肌合いを浮かび上がらせる絵画技法)する制作を、なんと30年もの間継続している。迂闊な事にというか不勉強な事に、昨年ベネチアに参加した事は知っていたが、どういうアーティストであるか、ほとんど無知であった。シンポジウム後、思わず東京大学出版会出版の作品(活動)集(¥3,800)を買ってしまったが、その30年間、かなり活発に活動を続けていたようだ。時流とか流行とか美術的な文脈とかとは一線を画した地平に立った思索の展開であった為に、旺盛な活動の反面、メディアにあまり目立って来なかったのではないかと予想されるが、どうなのだろか。紙と鉛筆を使用、描画された物体を物体としてインスタレーションするやり方、どれも私のある方向性と、パッと見類似していると言えるが、まったく異なるコンセプトである、が、しかしそれでも発想、思想の方向に共通項は多々あり、あるからこそスゴく明確に浮かび上がって来る差異が面白いと感じた。岡部氏の作品は、生身の身体の存在が作品に力を与え続ける事を印象付けながらも、鉛筆を走らせたその個人(作者)の作業・時間・生の帰結としての「現れ」自体にというよりも、その事象、そうした事が行なわれたというその行為(パフォーマンス)にスポットを当てる事で、その都度の「場所(特定の/選ばれた)」に眠っていた想像の可能性を発掘する。

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