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2008年7月の7件の記事

2008年7月29日 (火曜日)

イングーの来日

青森県青森市に国際芸術センター青森という建築家・安藤忠雄氏設計によるアート施設がある。円形の特異なギャラリーを持つここは年に二回、春と秋にアーティスト・イン・レジデンス事業を行っていて、2004年には僕も参加し、二ヶ月半の間滞在し、制作し、展覧会を持った。今年秋のテーマは「月下の森」だそう。

で、何が言いたいかと言うと、昨年アメリカ・ヴァーモント州での滞在制作中に知り合った韓国人アーティスト、カン・イングー(KANG In-Goo:b.1973)がこの今年秋の国際芸術センター青森のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムに選抜されたとのメール報告を受けたという事。当時、企画書を提出するよう勧めた経緯があるので素直に嬉しい。イングーは身近に在る些末なものを収拾、構築して巨大な立体作品を制作するアーティストで、ヴァーモントでの展覧会では敷地内の無数の小石を針金で一つ一つ丁寧に結わいて会場に敷き詰め、石とその影の斑点のチカチカチカっと混じる庭を披露した(下写真)。

アーティスト・イン・レジデンス2008/秋 「月下の森  Luna Forest」
展覧会期:2008年11月15日(土)‐12月14日(日)
※アーティスト滞在:9月24(水)ー12月20日(日)
国際芸術センター青森
http://www.acac-aomori.jp/

In

ヴァーモントではやたらとイギリス北部のアーティスト、アンディ・ゴールズワージー(b.1956)を好きな人が多かった。アンディ・ゴールズ・ワージーは、自然の中で発見される小さくて大きな驚き、その個人的な体験のレベルを拡大して作品化するアーティストである。田舎くさい。例えば巨大な雪玉の中に森で拾った木の枝をたくさん仕込み、雪が溶けると共に、バラバラと(まるで牛の死骸が朽ちて骨だけの姿になってゆくように)枝が現れて来る経過を写真に収めたり、小さな枝をクモの巣状に一つ一つその先端同士を接着してギャラリー通路に壁を出現させたりする。

アンディー・ゴールズワージー: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%BA%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%BC

ヴァーモントで出会った中で一番その影響が顕著だったのが、ジョナサン・ブリリアント(b.1976)というアメリカ人アーティストで、「コーヒーショップのゴールズワージー・プロジェクト(the Goldsworthy of the coffee shop」という、スターバックスにある木製の使い捨てのマドラーや紙コップなどの様々な小物を用いてゴールズワージーの物マネをするシリーズを持っていた。

Jonathan Brilliant(ジョナサン・ブリリアント)WEBSITE
http://www.jonathanbrilliant.com

Ingooイングーの制作の全てを知っているわけではもちろんないが、彼もまたゴールズワージーの影響下に制作を行なっているアーティストだと言っていいと思う。しかし選択されるそれぞれの素材に鑑賞者が注ぐ記憶の質、想起される内容という意味では少し粘質的で、それだけにまったく異なるとも言える。ヴァーモント当時ポートフォリオで過去の作品を見せてもらったが、何千何万本とも知れぬ大量の爪楊枝で何やらでっかい立体物を作っていた。

ともあれ、慣れぬ日本での短期間スピーディな制作から展覧会に突入する日々はスリリングでありながらも大変だろう。がんばって欲しい。 (写真→イングー)
卓球うまい。

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2008年7月18日 (金曜日)

天使の目玉

先日とある思いがけない都合により、とある水族館で徹夜をする機会があった。まったく予期せず日をまたぐ事になって、少し、困憊してしまっていたのだが、灯りの消えた薄暗い物音のまったくと言っていいほどに無い広場で、いくつもある海洋生物を収蔵する建物に囲まれタバコを吹かしていると、その建物の一つ、ガラス扉越し、ハイライトを吸う私から15メートルくらい先で月光にぼんやりと照らされた巨大な白い影が青い質感をともなって揺らめいているのを、一緒にいた一人が発見した。北極圏生息“シロイルカ”だ。ガラスにへばりついて中を覗いてひと時、見とれる。そしてその後、夜中二時頃だったか水族館員の方が白イルカの水槽を案内してくれた。或いは起こしてしまったのかも知れないが、深夜だというのに二匹の白い5メートルはあるだろう巨大で頭全体がコブであるようなイルカが速くも遅くもないスピードで奥行きのある水槽をいっぱいに使って泳ぎ、真夜中の珍客に興味を示したのかガラスを隔てたこちらのすぐそばまで来ては遠ざかる。エヴァンゲリオン初号機の覚醒時、唐突に現れる生物的なキュルッとした目玉や“リリス”のイメージはここから来ていたのか?極めて解像度の高い、非現実的なまでに生き物である事を剥き出しにしたその深夜二時の目玉、とても触り心地を想像する事の出来ない見知らぬ血が流れ、見知らぬ無数の皺を生む白い肌。心など持たない、いや、心の襞を伸ばし切った裏も表もない広がりがそこにはあったような気がする。

シロイルカ:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%AB

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2008年7月13日 (日曜日)

黒い本

Ed1 すでに終了した展覧会だが、東京・代々木、秋山画廊にて「敷物ー焼かれた言葉ー:遠藤利克」展を観た(2008/7/2~7/12)。このところ縁あってこの彫刻家の作品を観る機会に恵まれている。

この展覧会は新作ではなく1993年に制作された作品によるもの。未確認だが400冊くらいはあるのだろうか、タールが塗り込められバーナーで焦げ付きを与えられた分厚い聖書を思わせる本がギャラリー中央にぼてぼてと敷かれている。全体で四角い輪郭を形成する総面積は3.5×5メートルといったところか。5センチほどの高さを持つそれらの一冊一冊は場所によって一層から四層にランダムに積み重ねられぎこちない表面を作り、バーナーで焼け焦げ跡を付着させる際にページが飛ばないようにする為か、それぞれはその表紙からページを貫くようにビスで留められている。本同士の
凹凸の隙間には水を入れられた筒状の透明プラスティック製容器が10個ほど点在し煌めく。立ち込めるタールの居心地の悪い臭気が、半端に焼かれた作品の表面に、いつまでも乾く事のないじめじめじめっとした薄暗がりの日陰の腐りかけの畳のような印象を抱かせる。あまりに単純に過ぎる発想かもだが、本焼き行為からは「焚書坑儒」、或いは「華氏451度」が想い起こされる。しかしそれらとは異なる物語が発生しているのもまた確かな事だろう。

秋山画廊
http://www.akiyama-g.com/index.html
焚書坑儒:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%84%9A%E6%9B%B8%E5%9D%91%E5%84%92
華氏451度:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%AF%E6%B0%8F451%E5%BA%A6

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2008年7月 7日 (月曜日)

退屈な木々

東京・神楽坂、ユカササハラ・ギャラリーにて「原良介:ゆらめき地平面」展を観て来た。ここは以前まで小谷元彦や西尾康之など人気アーティストを扱うギャラリー、山本現代のあったスペースで、並ぶ隣の旧児玉画廊の場所にはMORI YU ギャラリーというのが入っていた。両ギャラリーの移転後ここに来たのは初めて。2001年に原良介(b.1975)氏が「東京ワンダーウォール」という東京都の主催するコンペティションで大賞を受賞した前後数年、幾度もこのペインターの作品を観る機会には恵まれていたが、今回は久しぶり。

当時の原氏の作品は、強い日差しに照らされた木々や人間の影の形象など-非実体的な具象的イメージを、支持体となる麻の白いキャンバスにたっぷりとした余白を残しながらさわやかな色とりどりの絵の具の物質性を強調した筆致で描き、鑑賞者の認識の確定を遅らせ続けるような絵画を制作していたと記憶しているが、久しぶりに観た絵画群はもはや影のモチーフや余白は用いず、かなり寓話的な要素を突出させているように映る。話を聞いたところ、以前のやり方では、還元的過ぎた為に限界が見えたので、とにかく画面・キャンバス全体を埋めてしまう事だけに的を絞り、制作を再出発したとの事。

Hara 寓話的なイメージを画面が与える大きな理由は描かれる風景の中で、しばしば登場する人物たちの仕草にあるようだ。人物像はどんな場合でも、物語を生み、比較的多くの支持者を得るように思うが、そういう連想ゲームには基本的に僕は興味がない。ここでは逆に登場人物のいない、縦構図の「landscape」と題された120号ほど(未確認)の森を描いた作品(右画像:yuka sasahara gallery HPより)に、コンセプトの定まった、つまり自我を乗り越えていくポイント/入口までの道のりがよく見定められた表現になっているように思われ、嫌が応にも目が行った。

キャンバスのかなりの部分(デティール)まで、たんなる絵の具でも見知った夢、連想ゲームでもない、仮象であり現実である「描かれたもの」という、第三の質感が現れ始めているように感じた。この絵は、縦長のキャンバスの下方から上方へと順番に、計画性を持たずに、この木の出現の後はどういう木を描こうというふうに、行き当たりばったりに描かれたという事だ。

制作途中、キャンバスの未だ埋められていない余白の形や量の制作者に与える重圧や開放感などが、既に描かれた内実への視線に影響を与えつつ、その余白と内実の際(きわ)で、新しいイメージをその都度産出させていったのではないかと容易に想像出来る。

当然「森」という具体的な物を描いているわけだから、作者の森に対する思念がキャンバス表面上には残留している事には違いない。実際そうした思念は、キャンバス平面上のその筆のさばき方や色の選択、木々の密集の仕方、木や枝、つるの種類等々々にあからさまに現れて来ている事も確認出来る。しかしそういった作者の悲喜こもごもの感情すら、前述した絵の具や物体としてのキャンバスなどのような絵画と言われる現象を構成する一要素として、等価に扱われている。

結果、中目のキャンバスのこの比率/この大きさは、この絵/この内実にとって唯一無二の立脚点を獲得し、この絵画なる物体を構成する絵の具や描かれる木々も同様に、互いとの適切な距離を見出し、そして渾然一体となった「landscape」と呼称するしかなかったものが現前したのではないかと推測した。

多くの鑑賞者にとってそれらの木々は、その他の展示された原作品と比較して、圧倒的に退屈に映るのかも知れない。ひょっとしたら制作者である原氏にとっても。しかし、真に見るべき何かが、この退屈さには潜んでいるように思えてならない。

原良介 ゆらめき地平面:Flickering Horizon(2008.7.5 Sat. - 8.9 Sat.)
ユカササハラ・ギャラリー
http://www.yukasasaharagallery.com

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2008年7月 4日 (金曜日)

とにもかくにも手を動かすも一向にはかどっている気分にならない

とにもかくにも手を動かすも一向にはかどっている気分にならない。そういう気分においそれとしてくれる作業/制作方法ではない事は重々嫌というほど承知しているし、経過の全般的にそうそう進度に振幅のあるものでもないわけだから、「一向にはかどっている気分にならない」なんて感じている心身の状態が、“いつも”と仮に呼ぶ制作の進行状況と違うという事になる。まあ、結構な割合で、まだまだだなーっとか思っているから、これはこれでいつもの状況と言えなくもないのだけど、こうした気分、つまりまだまだだーっと冷や汗を流したり、途方もなく(と感じさせる)霞がかる山頂にうんざりうだ〜っとするような心境は、虚弱な集中力を鍛え、高めてくれるので大歓迎だ。慢性的な腱鞘炎だってへっちゃら。焦って雑になる。周りが見えなくなって自分が何をしているのかわからない。そういう事はどんな事柄にもどんな時にも在る事で、そうした一切を引き受ける準備は出来ている。

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2008年7月 3日 (木曜日)

何が見える?

Kro1b

机の上の外付けDVDドライブの上で朝日を浴びて真っ黒い瞳でこちらを見つめるケロロ軍曹。

んなんかんなんか見透かされているよーな気がする・・笑

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2008年7月 1日 (火曜日)

43500円・・くらい?

5_2パソコンが・・もう数年iBook G4を使っているが、いつからか、というかあきらかにこの数ヶ月・・バッテリだけで・・ACアダプタ(電源)を抜いた状態で使えない・・持ち運べない・・ラップトップな意味がない・・アップルのホームページを見ると・・どうやらこのケース(右画像と下リンク)・・ACアダプタを抜いてしばらくするとメーニューバーでフル充電の表示がされているにもかかわらずプシューン↓と終了・・ロジックボード・・或いはバッテリーの接触不良か・・さて・・少し外部記憶から離れるべきか・・ま、とりあえずACアダプタつけてりゃ問題ない。
http://discussions.info.apple.co.jp/WebX?128@541.k0gMciB7mKa.0@.f0136a1

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