« 黒い本 | トップページ | イングーの来日 »

2008年7月18日 (金曜日)

天使の目玉

先日とある思いがけない都合により、とある水族館で徹夜をする機会があった。まったく予期せず日をまたぐ事になって、少し、困憊してしまっていたのだが、灯りの消えた薄暗い物音のまったくと言っていいほどに無い広場で、いくつもある海洋生物を収蔵する建物に囲まれタバコを吹かしていると、その建物の一つ、ガラス扉越し、ハイライトを吸う私から15メートルくらい先で月光にぼんやりと照らされた巨大な白い影が青い質感をともなって揺らめいているのを、一緒にいた一人が発見した。北極圏生息“シロイルカ”だ。ガラスにへばりついて中を覗いてひと時、見とれる。そしてその後、夜中二時頃だったか水族館員の方が白イルカの水槽を案内してくれた。或いは起こしてしまったのかも知れないが、深夜だというのに二匹の白い5メートルはあるだろう巨大で頭全体がコブであるようなイルカが速くも遅くもないスピードで奥行きのある水槽をいっぱいに使って泳ぎ、真夜中の珍客に興味を示したのかガラスを隔てたこちらのすぐそばまで来ては遠ざかる。エヴァンゲリオン初号機の覚醒時、唐突に現れる生物的なキュルッとした目玉や“リリス”のイメージはここから来ていたのか?極めて解像度の高い、非現実的なまでに生き物である事を剥き出しにしたその深夜二時の目玉、とても触り心地を想像する事の出来ない見知らぬ血が流れ、見知らぬ無数の皺を生む白い肌。心など持たない、いや、心の襞を伸ばし切った裏も表もない広がりがそこにはあったような気がする。

シロイルカ:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%AB

|

« 黒い本 | トップページ | イングーの来日 »

走り書き」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/205060/22384374

この記事へのトラックバック一覧です: 天使の目玉:

« 黒い本 | トップページ | イングーの来日 »