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2008年8月21日 (木曜日)

掃除の効用

ワルツほうきM&文化ちりとりセット所沢ビエンナーレ・プレ美術展会場(旧工場)にて自分の展示範囲を清掃。今回の展覧会では事前に会場を視察出来る回数に限りがあったので、あまり具体的に想像していなかったのだが、けっこうきったない。工場として使われていたというだけではなく、すき間風やすき間水(台風などによる浸水)と床にこびり付いた黒い油染みによって泥が固まり表面からは止めどなく砂土がサラサラザラザラ産出される。

もちろん全ての場所を100%に近い割合で清潔にする事が目的ならばバイトを雇い、強力掃除機バキュームでガーガーズンズン吸い取って、水をぶちまけカッパキで丸洗いという手段が適当、そうすべきだろう。しかしある程度に清潔である事は重要だが、この僕の展覧会場作業における目的は清潔にする事だけにあるわけではないので、とにかく一人でほうきを両手に握って淡々と動き続けた。(グループ展である故に、他のアーティストの場所との差が広がり過ぎるのもまた問題だ。)

疲労を考えれば、1〜2人お手伝いさんが欲しかったっていうのも本音ではあるけど、「トリック」の上田教授なら「手間のかかる事を」と眉間に皺を寄せてきっと言うだろうこの奇妙で面倒くさい作業を、こちらがさして気を使わずに恊働してくれる人はこの土壇場では見つかりそうにないし、やはり一人で時間をかけてというのがよりよいと思っているから仕方ない。さっそく親指と人差し指の間に新しい水ぶくれが出来て潰れた。

掃除するって事はその対象となる空間の面積の広さを知る事だ。床を隅から隅までほうきで湛然に掃き、壁の埃を出来る範囲落とす。汚れているから一ところ一度さらっと触れた程度では収まらない。何度も何度も掃いてはちりとりを傾ける。そうしてゆく事で、図面やメジャーでの採寸では図る事の出来ない、そこにある空間がどういう広さを持った、どういう光の届く場所であるのかを徐々に徐々に身体で知る事が出来るのだ。

旧知のセンチだとかインチだとかっていう尺度は確かに便利な場所を知る手段であるが、それはあくまである頭の中で想像をする手だての一つでしかないし、いっつもいっつもそうした表記し得る尺度を意識して身体を動かし、生活を送っているわけではないので、肉体の感覚とのズレがどうしてもある。それも驚くほどの大きさで。

さらに丸一日、ないし複数日の間、掃除っていうあまり変化のない単調な動作の繰り返しを行なう事は、単調であるがゆえに同じ精神的、肉体的な関わりとして、その場に降り注ぐ光や湿度、空気の移り変わりを感じ取ることが可能になる。

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