カテゴリー「書籍・雑誌」の3件の記事

2007年5月13日 (日曜日)

トラルファマドール星の小説

トラルファマドール星の小説とは次のようなものであるそうだ。トラルファマドール星人は語る。(「スローターハウス5」カート・ヴォネガット・ジュニア著 伊藤典夫訳より引用)

記号のかたまりは、それぞれやむにやまれぬ簡潔なメッセージなのだーそれぞれに事態なり情景なりが描かれている。われわれトラルファマドール星人は、それをつぎからつぎというふうでなく、いっぺんに読む。メッセージはすべて作者によって入念に選び抜かれたものだが、それぞれのあいだには、べつにこれといった関係はない。ただそれらをいっぺんに読むと、驚きにみちた、美しく底深い人生のイメージがうかびあがるのだ。始まりもなければ、中間も、終りもないし、サスペンスも、教訓も、原因も、結果もない。われわれがこうした本を愛するのは、多くのすばらしい瞬間の深みをそこで一度にながめることができるからだ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年5月10日 (木曜日)

スローターハウス5

先日(といってももう一ヶ月も前になる)の、小説家/カート・ヴォネガット・ジュニア氏が亡くなったニュース(スポーツ報知:2007年4月12日18時42分)から、氏の著作について、知人との間で話題になった。最近だと思っていたけれど、話題になったのもその数日後、だから、もうそこそこ前か。そのとき、ヴォネガットの著作を一冊も読んだ事がなかった私は、一方的に知人の話しを聞くだけだったし、今となっては何を聞き、何を話したかほとんど覚えていないが、なんとなく忘れる事が出来なかった。

その名前以外、ほとんど何も思い出せないので、何を忘れる事が出来ていないのか、いったい覚えている必要を何に対し、自分のどこらへんの部位が感じているのか、皆目わからない。しかしともあれ、今朝、酔い明けに、ふいに思い立って(何も今日みたいな雨風の強い日に思い立たなくても良さそうなものだが)、引きずり気味のコールテンのズボンの裾を湿らしながら、電車に8分ほど乗って、それから5分ほど歩いたところにある、おそらく、我が家から一番近い、地階には音楽CDが立ち並び、山積みされた、三階建てのブックオフを訪れた。

Photo ずららっと並ぶ「外国の著者」を扱う棚を、端から順々眺めてみたが、一冊も彼の著作は見つからず、さらに105円均一の棚を30分くらいかけて、寄り道しながら、しかしつぶさに見てゆくと、ハヤカワ文庫の列にただ一冊、それは見つかった。

「スローターハウス5」と題されたその本が、このカート・ヴォネガットという作家の歴史の中で、いつの、どういった作品であるかという知識を、私はまるで持ち合わせてはいなかったが、それは彼の著作のどれにも当てはまる事だったし、今でもまだ、その状況に多分それほど変化はない。そういうものだ。

なにも彼の著作を読んだ事がないからと言って、とりあえず古本、あわよくば100円で、などと考えていたわけではない。そして蛍光灯独特の煌々とした重みを持った店の中では、思い浮かべさえしなかったが、見つける気になれば、どこでだって見つかるのかも知れないという事もまた、知っていた。事実Amazon.co.jpを覗いてみると、ずらっと購入の選択肢は広がっている。

でも実際そうはしなかったし、そうはしなかったにもかかわらず、というか、そうはせず、この日ブックオフに行った事が、他のどの著作でもなく、そして二冊でも三冊でも四冊でも五冊でもなく、一冊の著作を購入する経緯を作った。

もちろん、そうして探し出した本を購入しない、と、いう選択肢も許されてはいたが、べつに購入を妨げる要素は見当たらなかった。購入しない事で何かが得られるといった期待を喚起するものも、購入する事で何かを失うという不安を掻き立てるものも、何、も、なかった。

そういうものだ。

Book スローターハウス5

著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
販売元:早川書房
Amazon.co.jpで詳細を確認する

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年3月22日 (木曜日)

水戸からの帰還/読書

茨城県・水戸、四日間の滞在から帰還。滞在中、水戸芸術館「マイクロポップの時代:夏への扉」展を観た。感想は後日。

龍宮 龍宮

著者:川上 弘美
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

水戸の行き帰りのそれぞれ3〜4時間の電車の中では、充実して本を読む事が出来た。幾册かの本を少しずつ。もう、ずいぶんと前に読み始めつつ、なかなか読み進まない、川上弘美著「龍宮」の中に入っている時、内容の善し悪しに関わらず本に内包するスピードについて思った。「龍宮」は230ページほどの、分量としては充分半日で読める文庫本だが、二ヶ月ほど読んだり読まなかったりして、やっとこ現在読み終わるという局面を迎えている。しかし面白くないわけではない。いや、むしろ面白い。体験として、この本は私にそういう速度で読む事を促しているような気がするのだ。

| | コメント (0)